1985年 | 育英工業高等専門学校 卒業/シャープ株式会社 入社 |
2012年 | 学校法人首都大学東京・産業技術大学院大学 修士号取得 |
2015年 | NINCHIスタート/コネクトフリー株式会社執行役員就任 |
2019年 | 学校法人京都精華大学 非常勤講師 (2022年まで) |
2020年 | 大阪府産業デザインセンター アドバイザー就任 |
2023年 | 公益財団法人大阪産業局 アドバイザー就任 |
シャープ株式会社に入社にてさまざまな商品のデザインを手掛けてきました。
分野を問わず、会社にとって重要な商品の担当デザイナーに任じられてきたからです。しかしながら、会社との権利関係が理由で、雑誌などの取材以外で自分の作品やコンセプトを公に紹介することはありませんでした。通常インハウスのデザイナーは自らの創作に対しての「権利主張をしない」という誓約書にサインをして働いています。また、企業内で事業を目的に創作されたものは、企業に著作者としての権利「職務著作」が与えられることになります。(著作権法第15条)
インハウスのデザイナーは、創作したと事実を財産としての権利を得ることができません。ここで紹介するデザインについて私との関連性については言及しません。世の中に「こういうものがありました」という事実を情報として提供します。サイトで扱うものは既に公に公表した事実に基づき、その事実に関連する情報を「取材」によって得た情報として掲載致します。
シャープ株式会社は素晴らしい企業であり、私は、その創造性や人道的で正しくありたいと願う社風への敬意をもっています。だからこそ、私がこの素晴らしい会社を辞めた理由が成り立つのですから。私、個人として受けた仕事に関しては、掲載する旨をクライアントに伝え、販売促進に寄与する形で紹介して参ります。
携帯電話市場が大いに盛り上がった2010年、この時期だからこそできたクリエイティブの共創です。マリメッコ、ドコモ、シャープという3つの企業が集い、ブランドアイデンティティを軸にした美しいデザインが時代に花を咲かせたました。
この商品は「marimekko」の持つ世界観とその美しさを表現できるか否かにそのクリエイションの全てがかかっています。
通常携帯電話の背面(柄を配した面)には時間や着信を知らせるディスプレイが存在します。しかし、柄を美しく見せる為にクリエターは柄を透かして発光する表示を考案していました。携帯電話が情報を見せたい時は表示され、普段は柄を邪魔する事がないのです。そして「とにかく形をシンプルにする」がこだわりです。
この柄はMaija Sofia Isolaによってデザインされた「marimekko」を代表するUNIKKOという柄です。その柄への敬意を形にし「marimekko」ファンの期待に応えるデザインを実現すること。そのロマンティックな世界を表現できたのは当時のシャープ株式会社の通信事業を支えていた技術者の努力と文化に対する理解、ドコモの冴えた企画力によるものです。
美しく華々しい時代に飾られた一輪の花「SH-02B marimekko」最先端はいつも私たちを魔法の世界へと誘い、酔わせては終わりを告げていきます。
オーブンレンジにインターネットを繋ぐという、どこまでも独自性にこだわる企業風土から生まれた時期尚早な商品。しかし、デザインはステンレスの風合いを活かし、キッチンの道具としてのプリミティブさにこだわっている。
WINDOWS98がインターネットというパンドラの箱を開け、今やスマートフォンで動画が楽しめるようになりました。 1999年にシャープ株式会社から発表されたオーブンレンジにはインターネット上のレシピを読み込み、調理に活かせるという先進的な機能が搭載されました。
その後継となるRE-LC1Sのデザインは未来的なデザインから、鍋や釜といったキッチンの「道具」を意識したものとなりました。ステンレス素材、握りやすい取手、無駄な造作のないシンプルなデザインは高く評価され、指名買いされるヒット商品となりました。調理道具が魅せる「人」と「美味しいもの」の関係や「暮らしの中の憧れ」を形にすることこそが時代に求められるデザインだと考えた結果です。
事業部外のデザイナーからのプレゼンでは「こんなデザインは売れない」と罵声や否定的な意見が飛び交いました。戦々恐々となる会議の中、一人の女性(事業部・企画担当)の言葉がこの会議を一転させました。
「私は...このデザインが好きです」
オーディオ機器の存在そのものが人々にロマンを与えていた時代に1ビットテクノロジーは生まれました。アンプのパワーを遅延なく瞬時に伝えることは開発者の「夢」でした。その夢は幻想的なデザインを生み出しました。
Hi-Fiが人の憧れであった時代。原音そのものよりもスピーカーやアンプが持つ個性や癖が楽しまれ、文化として華を咲かせていました。今もファン達は「再現される音」のロマンを求めているようです。
1999年に1ビットテクノロジーを搭載したオーディオアンプ「M-SX100」と「SM-SX1」がシャープ株式会社から発表されました。音源(SACD)から音を拾い、増幅するまでのタイミングロスを無くす技術。それは機械の個性や癖を排除し、音源をあるがまま、高純度な再現をすることです。
傾斜した厚みのあるクリスタルのパネルから表示が浮かび上がります。「SM-SX1」ではリップステックのような形状のボリュームつまみが配置され、不可思議なその形状は「音そのものに触れる」という幻想的な物語をオーディオマニアにプレゼントしたいという思いで創られた稀すぎるデザインです。
音響評論家「朝沼氏」アーティスト「Enya」からも高い評価を受けたデザインです。
携帯電話の多色化。ソフトバンクの「Pantoneシリーズ」は常識を打ち破った25色展開。孫正義。偉人の判断はいつも大胆だ。これに対し、A Uの多色ケータイは7色であったが、その異彩はもうひとつの伝説となった。
2009年にAUから発売された「SH005」は7色で展開された携帯電話。
シンプルな箱形状にこだわり、ビビッドな配色がなされました。多色展開される商品は売れなことを見越した「捨て色」があるものですが「SH005」は満遍なく全ての色が売れました。
ライムグリーンの外側に対し内側が紺色。これはアウトドアのウエアやアイテムに採用される象徴的な配色です。ミントカラーと焦茶によるチョコミント、北欧のフリース生地でよく見られる赤と紫の配色など、色の組合せによる世界観が表現されています。「多色」という即物的な手法から「世界観」という情緒的なコンセプトへの昇華です。待ち受け画像は「遠景」をモチーフにプロダクトデザイナー自らが描いています。
カラフルな四角い箱を開けると1枚の絵が入っている。あの日のことが懐かしく思い出され、目頭が熱くなる。遠景は「過去になってしまう”今”を集める」という作り手の描くストーリーに不可欠なものでした。「SHO05」のデザインは、あなたの遥か未来の一瞬のために送られたプレゼントです。
和歌山県由良産みかんジュース/初期のブランディングワークとディレクション。※現在、個人事業主様からのプロダクト、パッケージデザインはご依頼頂けません。
和歌山県の日高郡由良で柑橘栽培を展開する農家さんから「由良町の素晴らしい柑橘をジュースにして販売したい」という依頼がありました。誠実な思いに応えようと初期のコンセプトとデザインワークを行いました。
通常、個人事業の方へのデザイン提供はしていないのですが、ボトル瓶の選定、ロゴ、パッケージ、HPなどを創作させて頂きました。
ロゴタイプはアスタリスクマークをモチーフにしたものです。このデザインを見て、特に若い女性の方が「わかる!」と声をあげます。
はい、このアスタリスクマークと、まあるくオレンジ色のボトルから「みかんの実」が連想できましたか?数学的な記号「*」がかわいいみかんのヘタに変換さる時、あなたのお洒落な物語がスタートします。
都市部の雑貨屋さんなど小洒落たお店での受けがとても良いようです。今は全く離れてしまい、HPも変わってしまいましたが「美味しいジュース」と「かわいいくてお洒落なデザイン」を多くの人楽しんで頂けてたらと願っています。
私が企業内でブランディングの実践に奮闘したのは2010年〜2015年です。特に、膨大な金額を使って行われたインナーブランディングをリードする形で携わった事が私のメソッドの基礎にです。つまり、最高峰のコンサルティング会社を選び、余す事なくインナーブランディングに力を注いだわけです。そのパートナーとして白羽の矢が立ったのが「株式会社リンク&モチベーション」でした。JALの再生時にインナーブランディングを担当した会社です。リストラという苦渋を選択したシャープ株式会社の経営陣、その中に私はいました。
不安を抱えた将来有望な若手社員の流出がはじまり、深刻さを増していきます。私は「なんとかしたい」という思いでインナーブランディングを学び続けました。どん底の中で、会社で働く一人ひとりのエンゲージメント(愛社精神)を守ることができないか?仲間が同志として存在し、最高のパフォーマンスを発揮したいと瞳を輝かせてくれていた。その笑顔を取り戻す奇跡を発動させる鍵がインナーブランディングだったのです。
今、弊社が多くの会社に取り組んで頂きたいことが「熱量」の醸成です。高度成長期は働けば毎月のように昇給した時代です。今はどうですか?御社はどうですか?若い力、熱を感じる会社にする為にZ世代、α世代と創るエンゲージメントが重要です。
今だからこそインナーブランディングをスタートする必要があると考えています。
APPLE社に明確なブランディングのルールがあるでしょうか?
ホームページ、店舗、広告を見てもルールなど存在していないようです。経営理念、企業理念なども無いように見えます。しかし、カラフルな表現であってもシックな表現であっても、微に入り細に入りAPPLEらしいと感じます。その美しさ、箱にまで感動を憶える完成度、まさに洗練された美意識に全てが集約しています。よく名刺やホームページ、チラシの色を合わせることがブランディングだと言う人がいますが、APPLE社には関係に無いようです。
弊社では外向けのブランディングは美しく、完成度が高くなければならないと考えています。人は美しく完成度の高いものに信頼をおく。それは誰もが経験されているでしょう。フェラーリやエルメスは高価だからブランドなのではなく、美しく完成度が高いからブランドだということ。Starbucksがブランドなのは美しく、完成度が高いからです。
無印良品はブランディングを成功させている企業ですが、ドンキホーテは違います。では、マクドナルドは?
弊社では「マーケティング」と「ブランディング」の違いを明確にしています。マーケティングはモノやサービスを売る仕組みであり、ブランディングとは憧れを伴った信頼(エンゲージメント)の構築です。
マーケティングとは売る仕組みを創ることだと何度もお話ししてきました。とにかく「顧客を知る」にはじまって「顧客を知る」に終わると言って過言ではありません。顧客を洞察し
ないマーケターなど存在しないと思います。顧客を深く知るために時間を割き、情報を得、仮説を立て検証できるかがビジネスの扉を開く基本であり、鍵だからです。最近では、情報を得ることがとても容易になってきています。「Freeasy」のようなサービスでアンケート調査が安価にできるようになった点、また「Orange(Python)」「JASP」のようなGUIで多変量解析ができるようなソフトが無料で使えたりします。私はサンプルから未来を導くセオリー通りな解析を行うより、直感的で面白い説明変数の取り合わせに魅力を感じていたりします。
とにかく、あらゆる方法で顧客のインサイトに迫ることで、商品・サービスを売る仕組みができてきます。
私がスタートアップに携わり、名づけの親となった「ECOEAT(エコイート)」は賞味期限切れ商品を販売するお店ですが「たべてはいけない」という人々のバイアスを転換する為に「食品ロス」への高い意識のあるペルソナを設定し展開することで「たべることが良いこと」へテーマ変換していきました。このペルソナはあくまでアーリーアダプターであり、彼らをフォローして背中を押されるマジョリティの中に真の顧客がいます。そこで重要なのはネット販売ではなく「店で売る」です。
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